色の種類を漢字で書く時はどんな文字で表すの

色の種類は赤、青、黄色など、シンプルに表現するのなら、数十種類程でしょう。
しかし、さらに細かく漢字で表現できる色には数多くの種類があり、中には読むのも書くのも難解なものもあります。
さまざまな種類を知ることで、友達に色の雑学の知識を披露したり、絵を描く時に役立ちます。
知れば知るほど奥が深い、漢字で表す色の世界をご紹介します。

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色の種類を漢字で表すと?赤系のアレコレ

美しい日本語は沢山あります。その中でも、色にまつわる日本語や漢字に魅了されているという人もいるかもしれません。

色には、覚えきれないほど沢山の種類があります。日本の伝統色だけで1,000色程度、現代に表現できる色だけでも300~400種類以上あると言われているのです。日本の伝統色は和色ともいわれ、その美しさは日本人の美の心が反映されているかのようでもあります。

四季の移り変わりの中に、生み出された様々な色。日本古来の暮らしの中に多く存在する、繊細で豊かそして落ち着きがありながらも趣のある色を探って行きましょう。

まずは赤系の主な色の種類を見ていきましょう。

  • 深紅(しんく)
    真紅とも書くこともあります。読んで字のごとく、深くあざやかな濃い赤(紅色)のことです。ふかきくれない、こきべにとも呼ばれることもあります。混ざりものがない、正真正銘の真っ赤な色です。
  • 朱色(しゅいろ)
    黄色みを帯びた鮮やかな赤で縄文時代からあった色です。貝塚などから見つかった土器や土偶にもこの朱色が使われています。古来より賢者の石(日本名は辰砂)から精製された天然の朱色が、顔料として使われているのです。
  • 桃色(ももいろ)
    日頃ピンクの和名として馴染んでいる桃色ですが、英語でいうピンクとは実は色が違います。なでしこの花色がピンク色になります。桃の花の色のことを桃色とよび、古くは実際に桃の花で染色した色を指していました。
    現在は、染め方にこだわらず柔らかい赤い色のことを桃色と言います。また、英語のピーチという色とも異なります。英語でピーチという色は、桃の果肉に近い色を指します。鮮やかな花の色ではありません。

その他にも、梅重(うめがさね)、乙女色(おとめいろ)、薔薇色(ばらいろ)、撫子色(なでしこいろ)、朱鷺色(ときいろ)、雀色(すずめいろ)、珊瑚色(さんごいろ)、小豆色(小豆色)、海老茶(えびちゃ)桜色(さくらいろ)など、様々な赤系の色が存在します。

色の種類を漢字で表すと?青系のアレコレ

青色系の種類の漢字も見ていきましょう。

  • 紺壁(こんぺき)
    紺碧の空、紺碧の海のように使用される紺碧という色。少し黒みがかった青、深い青を紺碧と言います。紺色は紫味を帯びている、ダークトーンの青色です。藍色の種類の中では、最も深く濃い色をしています。英語でネイビーブルーとはこの紺色を指しています。
    また碧色は、深い青緑色のことです。碧は緑碧玉という宝石の色が元になっています。同じ様な意味をもつ二つの文字が繰り返されることで、青色がより強調されているのです。紺碧は、もともと宝石のラピスラズリ(瑠璃)に由来すると言われています。この色が日本に伝わった際に、紺碧と和訳されたと言われています。
  • 空色(そらいろ)
    空の色と単に述べたところで、実際はその色は時間や天気によって違います。しかし、色名としての空色は、晴れた昼間の色のことです。晴れた昼間の空は、太陽光が大気で散乱されることによって、空が青く見えます。それが空色なのです。明るい青色を指します。英語で言うスカイブルーに近い色と言えるでしょう。また、そらいろというの読み方の色は実は2つあります。空色と天色です。空色と同じ色を意味します。しかしこの天色をあめいろと言った場合はあまいろと同じ色です。そらいろよりは青く鮮やかな色の事を言うのです。
    空色は水色とほぼ変わりなく、用いられることもあるでしょう。
  • 群青色(ぐんじょういろ)
    顔料の群青に由来する色です。紫がかった深い青色の事を指します
    群青はラプスラズリから作られた青色の顔料です。ラピスラズリ(瑠璃)は大変に高価で貴重であったことから純金と同じ価値、もしくはそれ以上として売買されていました。そのことから、のちに、それに変わるものとして、アズライトを使った青色顔料が作られるようになり、広く青色が使われるようになったのです。青の集まっている様子、青が群れるという意味から「群青」と呼ばれるようになり、ウルトラマリンやウルトラマリンブルーを訳した言葉とされてます。
  • 水色(みずいろ)
    澄んだ水の色ををさします。淡い緑がかった青色の事を指します。水の色を想像する時、不純物のない無職透明な純粋な水を想像する人もいるかもしれませんが、川や海、湖もしくは池などでは青く見えるはずです。このように水色は水の青をことのはじまりとしているのです。

青系の色の種類には、他にも、錆納戸(さびなんど)、花色(はないろ)、勝色(かついろ)、白縹(しろはなだ)、水浅葱(みずあさぎ)、御納戸茶(おなんどちゃ)、千草色(ちぐさいろ)、深川鼠(ふかがわねずみ)、熨斗目花色(のしめはないろ)、浅縹(あさはなだ)、鴨頭草(つきくさ)、鉄色(くろがねいろ)、勿忘草(わすれなぐさ)、露草色(つゆくさいろ)、白群(びゃくぐん)、甕覗(かめのぞき)など、様々な色があります。

色の種類を漢字で表すと?黄色系のアレコレ

黄色といえば、菜の花のような鮮やかな色を思い浮かべる人も多いでしょう。

黄色系の色の種類も勿論様々です。漢字で表される黄色系の色を見ていきましょう。

  • 飴色(あめいろ)
    半透明で明るい褐色。それが飴色です。水飴のような透明でありながらも橙色に近い黄色や琥珀色の事を指します。キャラメルのような色も飴色と呼ばれることもあります。よってまた玉ねぎを炒める時にもこの飴色という言葉が使われることもあるでしょう。現代では、革の色や、長年使用された木の製品の色、時を積み重ねられた色に用いられます。あめいろと同じ読み方には天色もありますが、同じ色ではありません。濃く澄んだ青色が天色なのです。
  • 小麦色(こむぎいろ)
    小麦の殻の粒のような、赤みのある柔らかい黄色を指します。現代文学により定着した色ですが、平安時代では深黄と呼ばれていました。小麦色という色は、英語では違う色になってしまいます。どちらかと言えば、焦げた茶色に近い色を示します。
  • 山吹色(やまぶきいろ)
    バラ科の山吹の花のよな、赤みを帯びた黄色を指します。山吹は夏の季語です。また、別名黄金色とも言われています。よって大判、小判なども山吹色と表現されます。
  • 芥子色(からしいろ)
    芥子菜の種を粉にして練ったカラシのような鈍い黄色の色を指します。和辛子、マスタードの色です。
  • 琥珀色(こはくいろ)
    の透き通った琥珀石のような黄色、または茶色みがかった黄色を指します。光沢のある色という微妙な意味合いも含まれています。琥珀の成分は、松などの樹木の樹液です。古くから貴重な石とされています。最も親しまれている琥珀の色と言えば黄色と金ではないでしょうか。しかし、琥珀には、その他にも白やオレンジ、赤みがかった茶色など様々な色の琥珀が存在します。ウイスキーの美しい色にも、琥珀色という表現がが使われます。

他にも、黄色系の色には、鶏冠石(けいかんせき)、不言色(いわぬいろ)、梔子色(くちなしいろ)、大和柿(やまとがき)、杏色(あんずいろ)、蒲公英色(たんぽぽいろ)雄黄(ゆうおう)、蘭茶(らんちゃ)、青朽葉(あおくちば)、木蘭(もくらん)、肥後煤竹(ひごすすたけ)、鳥の子色(とりのこいろ)、紅柑子(べにこうじ)、桑染(くわぞめ)、刈安(かりやす)、蘇比(そひ)など、様々な色があります。

色の種類を漢字で表すと?緑系のアレコレ

竹林なども、緑色のイメージがあると思います。

緑系を日本の伝統色で表すとどうなるのでしょうか。色の種類を漢字を見ていきましょう。

  • 緑青(ろくしょう)
    マラカイトと言われる鉱物から作られる顔料の色です。淡い青緑色、くすんだ緑の事をさします。銅が酸化されることで作られる青緑色のサビも緑青と呼ばれます。これは、マラカイトと同じ成分なので、現在では人工的に銅を酸化させて、サビを原料に顔料を作るという製法も存在します。10円玉が青緑色になる原因も、緑青です。
  • 若草色(わかくさいろ)
    若草のような鮮やかな黄緑色です。早春の芽吹きのようなこの色は、平安時代から用いられています。若という言葉は新鮮なという意味もあり、春がこれから訪れる鮮やかな緑色を表していると言われています。若草は俳句では春の季語です。
  • 松葉色(まつばいろ)
    松葉色は古い色名です。松の葉のような深く渋い青緑色を指します。松の葉は冬でも青々としていることから不老長寿の象徴として、そして正月には髪が降りてくる樹としても、日本人に関わりの深い樹と言えます。
  • 金春色(こんぱるいろ)
    金春色は明治の終わり頃から流行しました。明るい、そしてわずかに緑がかった鮮やかな青色をさします。
  • 青磁色(せいじいろ)
    青磁に似たやわらかい青みがかった緑色のこと指します。青磁とは土や釉薬に含まれる鉄分により、それが焼かれて葉面が青みがかったやら若い緑色になった磁器のことをさします。青磁と言って有田焼をイメージする人もいるかもしれません。

他にも、山葵色(わさびいろ)、殿茶(とのちゃ)、花萌葱(はなもえぎ)、鸚緑(おうりょく)、薄柳(うすやなぎ)、織部(おりべ)、天鵞絨(びろうど)、麹塵(きくじん)、虫襖(むしあお)、高麗納戸(こうらいなんど)、女郎花(おみなえし)など、様々な緑系の色を表す漢字があります。

なぜ日本は色の名前が多いのか

ではなぜ、日本にはこれほどにまで色の名前の漢字が多いのでしょうか。

それは、古来の人には、色という考えがなかったことが元になっていると言えます。
平安時代、赤は明るい色、黒は暗い色、白は鮮やかではっきりしている色、青は淡い色という濃淡だけを表す言葉でした。この4つは古来から使われていた色味を表す言葉でした。

よって、物の色を表す時には、物の名前で呼ばなければなりませんでした。色という考えや概念が出来てきてからも、これらの見地からも、様々な色名が付けられたと言われています。

五感のなかで得られる情報のうち、知覚の割合は8割以上といわれています。そのなかでも色の情報が最も多いといわれているのです。色彩は広大無辺です。表せる色だけでも、300色以上あります。

日本の伝統色の多くが植物の色に由来しています。これは日本が四季折々の表情をみせる自然豊かな国である証拠かもしれません。細かな色の違いを美しい漢字にしてしまう日本人の美しい心を考えると誇らしくもあります。

あなたも、その色の種類だけでなく、色の名前の漢字、その由来を知ることで、日本の四季の移ろいを感じることができるかもしれません。